2025.10 / Falling Sun at AKIINOUE in Tokyo
個展「Falling Sun」 岡﨑龍之祐 AKIINOUE 〒150-0034 東京都渋谷区代官山町2−3 THE ROWS 2F 2025年10月4日(土) ‒ 2025年11月1日(土) 11時 - 19時 (日・月・祝 休廊) 記憶を包み、光を紡ぐこと ―個展「Falling Sun」に寄せて 人は太陽を恐れ、讃え、祈りを捧げてきました。 それは生命を育む光としてだけでなく、破壊と死をもたらす絶対的な力としても崇め、畏怖し続けてきた歴史でもあります。 1945年8月6日、広島に投下された原子爆弾は、その閃光と熱をもって「まるで太陽が落ちてきたかのようだ」と形容されました。 それは自然から与えられる太陽とは異なる、人間が生み出した「人工の太陽」でした。 都市は焼き尽くされ、数えきれない命が奪われました。私の祖母もその日、被爆しました。 中学・高校生時代、爆心地近くの川沿いにある平和大橋を毎日のように自転車で渡って通学していました。橋の上から見える川の流れや光の中に、どこか言葉にならない重さとやさしさを感じていました。 それは風景であると同時に、身体に刻まれた記憶でもありました。 金色の布で太陽をかたちづくることは、私にとって単なる象徴の再現ではありません。破壊の記憶を抱きながらも、なお光を見上げ、未来を編み直そうとする祈りの行為です。 布は人の身体にもっとも近い素材であり、肌に触れ、包み、護り、そして時間や想い、記憶を宿してきました。金という色の輝きは、神聖さと栄光、そして死や贖罪、永遠への希求までも含む複雑な象徴です。 沈む太陽と落ちる太陽、日々の循環と破壊の記憶。 それは絶対的で遠い存在との間に、もう一度静かな対話を生み出し、破壊と再生、記憶と祈りを抱えながら未来へと光を紡ぎ出そうとする試みです。